危険物取扱者 乙種第4類/基礎的な物理学及び基礎的な化学
化学の基礎(物質の分類・化学変化・反応式・pH・酸化と還元)
物質の分類、物理変化と化学変化、化学反応式を使った酸素量の計算、濃度、酸・塩基とpH、酸化と還元、金属の腐食を、例題つきでまとめます。
物質はどのように分類する?
物質は、1種類の物質だけでできた純物質と、2種類以上が混ざった混合物に分けられます。純物質はさらに、1種類の元素だけでできた単体と、2種類以上の元素が結びついた化合物に分かれます。
酸素・水素・硫黄・鉄は単体、水・二酸化炭素・エタノールは化合物です。空気や食塩水、ガソリン、灯油は混合物です。ガソリンや灯油の引火点や沸点が1つの数字ではなく幅で示されるのは、多くの炭化水素が混ざった混合物だからです。
同じ元素からできていて性質が違う単体どうしを同素体といい、酸素とオゾン、黒鉛とダイヤモンド、赤りんと黄りんが例です。陽子の数が同じで中性子の数が違う原子どうしは同位体といい、同素体とは別の言葉です。
炭素を骨格とする化合物は有機化合物と呼ばれ、第4類の危険物のほとんどがこれに当たります。有機化合物は一般に燃えやすく、融点や沸点が低く、水に溶けにくいものが多いという特徴があります。
物理変化と化学変化はどこで見分ける?
別の物質ができるかどうかで見分けます。形や状態が変わるだけで物質そのものが変わらないのが物理変化、元とは違う物質ができるのが化学変化です。
氷が溶ける、ガソリンが蒸発する、砂糖が水に溶ける、ドライアイスが昇華するのは物理変化です。鉄がさびる、木炭が燃える、水を電気分解して水素と酸素ができるのは化学変化です。燃焼は化学変化の代表で、可燃物が酸素と反応して二酸化炭素や水という別の物質に変わります。
| 化合 | 2種類以上の物質が結びついて別の物質になる。例:炭素+酸素→二酸化炭素 |
|---|---|
| 分解 | 1つの物質が2種類以上の物質に分かれる。例:水→水素+酸素 |
| 置換 | 化合物の一部が別の原子と入れ替わる。例:亜鉛を塩酸に入れると水素が出る |
化学反応式から必要な酸素の量はどう求める?
反応式の係数は、反応する物質の分子の数の比、つまり物質量(mol)の比を表します。質量をmolに直し、係数の比を使い、最後に質量や体積に戻すのが基本の手順です。
1 molの質量は、分子量にgを付けた値です。原子量はH=1、C=12、O=16として計算するのが一般的です。気体は、0℃・1気圧(1.013×10⁵ Pa)で1 molが22.4 Lを占めます。
例題:プロパンの完全燃焼に必要な酸素の量を求める
プロパン(C₃H₈)88 gを完全燃焼させる。反応式は C₃H₈+5O₂→3CO₂+4H₂O、原子量は H=1、C=12、O=16 とする。
- ① プロパンの分子量を求める 12×3+1×8=44
- ② 質量をmolに直す 88÷44=2.0 mol
- ③ 係数の比から酸素のmolを求める 2.0×5=10 mol プロパン1 molに酸素5 mol
- ④ 質量と体積に直す 10×32=320 g、10×22.4=224 L 体積は0℃・1気圧での値
答え:酸素320 g(0℃・1気圧で224 L)
よくある間違い:係数の5を掛け忘れる、酸素の分子量を32ではなく16で計算する、の2つがよくある誤り。
溶液の濃度はどう計算する?
質量パーセント濃度は、溶質の質量÷溶液全体の質量×100で求めます。分母は溶媒(水)だけではなく、溶質と溶媒を足した溶液全体です。
水を加えて薄めても、溶けている溶質の量は変わりません。濃度25%の溶液80 gには溶質が20 g入っており、水を20 g足すと溶液は100 gになるので、濃度は20%に下がります。
例題:質量パーセント濃度を求める
水160 gに食塩40 gを溶かした。
- ① 溶液全体の質量を求める 160+40=200 g
- ② 濃度を求める 40÷200×100=20%
答え:20%
よくある間違い:水の160 gで割ると25%になる。分母は溶液全体。
酸・塩基とpHは何を表す?
pHは水溶液の酸性・塩基性の強さをおおむね0〜14の数字で表したもので、7が中性、7より小さいと酸性、大きいと塩基性(アルカリ性)です。
酸は水に溶けて水素イオン(H⁺)を出す物質、塩基は水酸化物イオン(OH⁻)を出す物質です。pHが1小さくなると水素イオンの濃度は10倍になります。酸と塩基が反応して塩と水ができる反応を中和といいます。塩酸や硫酸は酸性、水酸化ナトリウムの水溶液は塩基性で、純水は中性です。
酸化と還元はどう見分け、金属はなぜ腐食する?
酸素を受け取る・水素を失う・電子を失う変化が酸化で、その逆が還元です。酸化と還元は1つの反応の中で同時に起こります。
相手を酸化する物質を酸化剤、相手を還元する物質を還元剤と呼びます。酸化剤は相手に酸素を与えたり相手から電子を奪ったりするので、自分自身は還元されます。第1類と第6類の危険物は酸化性の物質で、可燃物と混ざると燃焼を激しくします。燃焼も、可燃物が酸化され、酸素が還元される酸化還元反応です。
金属が水溶液中で陽イオンになろうとする性質の強さをイオン化傾向といいます。大きい順に、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、鉛、(水素)、銅、水銀、銀、白金、金と並びます。イオン化傾向が大きい金属ほど酸化されやすく、腐食しやすい金属です。
異なる金属が接していると、イオン化傾向が大きいほうが先に溶け出します。鉄管に銅の部品をつなぐと鉄が腐食し、逆に鉄管に亜鉛やマグネシウムをつなぐと、それらが先に溶けて鉄を守ります。亜鉛めっき鋼板(トタン)が傷ついてもさびにくいのも同じ理由です。
職場ではどう使う?
地下に埋めた鉄製の配管やタンクは、土の中の水分や酸によって腐食が進みます。異なる金属をつないだ部分や、性質の違う土をまたいで埋めた配管は腐食しやすく、塗覆装をしたり、マグネシウムなどを陽極にして鉄を守る電気防食をしたりします。腐食の穴は危険物の漏れに直結するため、定期点検で配管や防食設備の状態を確かめます。
反応式の計算は、燃焼設備で燃料を燃やすのに必要な空気の量を見積もる考え方と同じです。プロパン1 molに酸素5 molが必要で、空気は酸素を体積で約21%しか含まないので、空気はその約4.8倍、プロパン1 molあたり約24 molが必要になります。空気が足りないと不完全燃焼して一酸化炭素が出ます。
試験ではどう問われる?
化学の基礎では、定義の向きを逆にした誤りの選択肢が作られやすくなります。酸化剤が自分も酸化される、pHが小さいほど塩基性が強い、鉄と銅がつながると銅が腐食する、といった形です。物理変化と化学変化の区別は、昇華・溶解・蒸発の中に、さびや燃焼を1つだけ混ぜる型が典型です。
計算では、反応式の係数を使い忘れた値や、molに直さずに質量のまま比をとった値が誤りの選択肢として並びます。濃度の計算では、分母を溶媒だけにした値に注意します。混合物と化合物の区別では、ガソリンや灯油、空気が混合物であることが問われます。
よくある質問
化学が苦手でも乙4の化学は解ける?
乙4で問われるのは、分類・変化・pH・酸化還元などの基本の言葉と、反応式から量を求める簡単な計算です。molと係数の比の使い方を1つの例題で身につければ、反応式の計算の多くは同じ手順で解けます。
同素体と同位体の違いは?
同素体は同じ元素でできた性質の違う単体どうし(酸素とオゾンなど)、同位体は陽子の数が同じで中性子の数が違う原子どうしです。前者は物質の違い、後者は原子の違いです。
0℃・1気圧で気体1 molは何L?
22.4 Lです。反応式で求めた気体のmolに22.4を掛けると、0℃・1気圧での体積が出ます。温度や圧力が違うときは、ボイル・シャルルの法則で換算します。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は一般財団法人 消防試験研究センターの公式情報で確認してください。