危険物取扱者 乙種第4類/危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
第4類に共通する性質・火災予防・消火
第4類(引火性液体)に共通する性質と、蒸気・静電気・流出への備え、消火剤の選び方、給油や詰替えの事故の型までを1本にまとめます。性消10問のうち毎回のように出るとされる分野です。
第4類の危険物に共通する性質は?
第4類は引火性液体で、液体から出た蒸気が空気と混ざり、燃焼範囲の濃度で火源に触れると燃えます。代表物質に共通する性質は、下の5つにまとめられます。
試験では「多くは」「一般に」と書かれた性質が中心です。例外の物質と組にして覚えると、「すべて」に言い換えた誤りの記述を見抜けます。数字は厚生労働省「職場のあんぜんサイト」のモデルSDSと試験対策の教科書値によるもので、混合物のガソリンや灯油は資料によって幅があります。
| 引火しやすい | ガソリン・アセトン・メタノールなど、引火点が常温より低いものが多い。引火点の低いものほど低い温度で燃える |
|---|---|
| 蒸気は空気より重い | 代表物質の蒸気比重はメタノールの1.11からガソリンの3〜4まで、いずれも1を超える。低い所に溜まり、遠くまで流れる |
| 水より軽く、水に溶けないものが多い | ガソリン・灯油・トルエンなどは水に浮いて広がる。二硫化炭素(比重1.3)や酢酸(1.05)は水より重く、アルコール類やアセトンは水に溶ける |
| 電気を通しにくいものが多い | 非水溶性の多くは電気の不良導体で、流したりかき混ぜたりすると静電気がたまりやすい |
| 発火点の低いものがある | 二硫化炭素の発火点は90℃で、高温の配管に触れるだけで燃えることがある |
蒸気が低い所に溜まると何が起きる?
空気より重い蒸気は、床面やピット、排水溝に沿って流れ、漏れた場所から離れた火源に届いて燃えることがあります。燃え始めると、火は蒸気の通り道を逆にたどって漏れた場所まで戻ります。
政令第9条は、可燃性の蒸気が滞留するおそれのある建築物に、蒸気を屋外の高所に排出する設備を求めています。屋内貯蔵所でも、引火点70℃未満の危険物の貯蔵倉庫には、滞留した蒸気を屋根上に排出する設備が必要です(政令第10条)。
燃焼範囲の下限が低い物質ほど、わずかな漏れで燃える濃度になります。ガソリンの下限は1vol%台です。空に見える容器やタンクにも、底に残った液から出た蒸気が溜まっています。
静電気はなぜたまり、どう防ぐ?
ガソリンや灯油のような非水溶性の液体は電気を通しにくく、配管の中を流れたり、ホースから勢いよく注いだりすると、摩擦で生じた電荷が逃げずにたまります。放電の火花は小さくても、燃焼範囲の蒸気には十分な点火源です。
対策は、発生を減らすことと、たまった電荷を逃がすことの2つです。流速を落とす、注入管の先を底に着けて液を落とさない、湿度を保つ、が発生を減らす側です。タンク・容器・配管の接地、導電性の靴や帯電防止の作業服が、電荷を逃がす側に当たります。
政令は、ガソリンやベンゼンなど静電気による災害のおそれがある液体について、屋外貯蔵タンクの注入口付近に接地電極を、移動貯蔵タンクに接地導線を設けるよう定めています。給油ホースの先端にも、静電気を除去する装置が必要です。
貯蔵・取扱いでは何に気をつける?
政令第25条は、第4類について「炎、火花若しくは高温体との接近又は過熱を避ける」「みだりに蒸気を発生させない」の2点を類ごとの共通基準としています。現場の注意は、ほぼこの2つから導けます。
容器は密栓して蒸気を逃がさず、直射日光や熱源を避けた冷暗所に置きます。ただし詰めるときは液の膨張を見込んで空間を残します。規則第43条の3は、液体の危険物を運搬容器に入れるとき、収納率を98%以下とし、55℃で漏れない空間容積を残すよう定めています。
漏れた油を排水溝に流すと、下水や川を伝って広がり、離れた場所で火災になります。政令は危険物を海中や水中に流出させないことを求め、非水溶性の第4類を扱う屋外設備の貯留設備には油分離装置を設けるよう定めています(政令第9条・第27条)。
第4類の火災に水をかけてはいけないのはなぜ?
水より軽く水に溶けない油に棒状の水をかけると、油は水に浮いたまま流れ出し、火のついた面が広がります。ガソリンの引火点は常温よりはるかに低いので、水で冷やしても引火点より下げることはできません。
このため第4類の消火は、液面を覆って空気を断つ窒息消火が基本です。燃えている油を水で流すと、排水溝や低い所へ火が運ばれ、被害が広がります。
どの消火剤なら使える?
政令別表第五で第4類に適応するとされているのは、霧状の強化液、泡、不活性ガス(二酸化炭素など)、ハロゲン化物、粉末の消火設備と消火器です。棒状の水、霧状の水、棒状の強化液は適応に入っていません。
アルコール類やアセトン、酢酸のような水溶性の液体では、普通の泡は液に溶け込んで壊れてしまいます。そこで、泡が壊れにくい水溶性液体用の泡消火剤(耐アルコール泡)を使います。二酸化炭素を閉め切った室内で使うときは、人が酸欠にならないよう退避を確かめます。
| 泡 | 適応。液面を覆って空気を断つ。水溶性の液体には水溶性液体用の泡 |
|---|---|
| 二酸化炭素・ハロゲン化物 | 適応。空気を断つ、燃焼を抑える |
| 粉末 | 適応。燃焼を抑える |
| 霧状の強化液 | 適応 |
| 棒状の水・霧状の水・棒状の強化液 | 適応しない。油が浮いて流れ、火面が広がる |
職場ではどう使う?
ガソリンスタンドでは、給油前に静電気除去シートに触れてもらう掲示や、給油ノズルの静電気除去装置が、この分野の知識をそのまま形にした設備です。冬の乾燥した日は、体にたまった静電気が給油口付近で放電し、ガソリン蒸気に着火するおそれが高くなります。
タンクローリーの積込みでは、ガソリンを運んだタンクに灯油や軽油を積む切替えのときに注意が要ります。タンクに残ったガソリン蒸気が燃焼範囲に入っていると、灯油の流入で生じた静電気で着火することがあるため、流速を落として接地を確かめます。移動タンク貯蔵所から引火点40℃未満の危険物を注入するときは、原動機を止めることも政令第27条で定められています。
タンクの清掃や修理では、液を抜いた後も底や壁の残液から蒸気が出続けます。蒸気を追い出して濃度を測り、燃焼範囲より十分に低いことを確かめてから、火花の出る工具や溶接を使います。家庭や店舗向けには、消防庁がリーフレットで、ガソリンは灯油用ポリ容器に入れられないこと、携行缶はフタを開ける前にエア抜きをすることを呼びかけています。
試験ではどう問われる?
共通性質の問題では、「多くは」「一般に」を「すべて」に変えた記述が誤りになります。液比重を「すべて1より大きい」、蒸気を「空気より軽い」とする選択肢が典型です。
消火の問題では、棒状の水や霧状の水を「適応する」とした記述や、水溶性の液体に普通の泡を勧める記述が誤りとして並びます。静電気では、流速を上げる、乾燥させる、化学繊維の服を着るといった逆向きの対策が混ぜられます。
燃焼範囲では、下限が「高いほど危険」とした記述が誤りです。下限が低いほど少ない漏れで燃える濃度になり、範囲が広いほど燃える条件が広くなります。
よくある質問
第4類に共通する性質はいくつ覚えればいい?
引火しやすい、蒸気は空気より重い、水より軽く水に溶けないものが多い、電気を通しにくく静電気がたまりやすい、の4つが中心です。水より重い二硫化炭素、水に溶けるアルコール類のような例外と組にして覚えます。
ガソリン火災に水をかけるとどうなる?
ガソリンは水に浮くので、燃えたまま水に乗って流れ、火が広がります。泡・二酸化炭素・粉末などで空気を断つ窒息消火を使います。
耐アルコール泡はどんなときに使う?
アルコール類、アセトン、酢酸など水に溶ける液体の火災に使います。普通の泡は水溶性の液体に溶けて壊れるため、泡が壊れにくい水溶性液体用の泡消火剤を使います。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
関連する解説
解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は一般財団法人 消防試験研究センターの公式情報で確認してください。