危険物取扱者 乙種第4類/危険物に関する法令

貯蔵・取扱いの基準と、運搬・移送の基準

製造所等での貯蔵・取扱いの共通基準と第4類の基準、給油取扱所と移動タンク貯蔵所での取扱い、容器で運ぶ「運搬」とタンクローリーで運ぶ「移送」の違いと、それぞれの基準をまとめます。

貯蔵・取扱いのすべてに共通する基準は?

製造所等での貯蔵・取扱いには、類を問わず守る共通の基準があります(政令第24条)。許可や届出をした品名・数量・倍数を超えて扱わない、みだりに火気を使わない、係員以外をみだりに出入りさせない、が土台です。

整理・清掃を常に行い、空箱などの不要な物を置きません。貯留設備や油分離装置にたまった危険物は、あふれないように随時くみ上げます。危険物のくずやかすは、1日に1回以上、性質に応じて安全な場所で廃棄などの処置をします。

危険物が残っている設備や容器を修理するときは、安全な場所で危険物を完全に除いてから行います。可燃性の蒸気がたまるおそれのある場所では、電線と電気器具を完全に接続し、火花を出す機械器具・工具・履物を使いません。

類ごとの基準では、第4類は炎・火花・高温体との接近や過熱を避け、みだりに蒸気を発生させないこととされています(政令第25条)。水との接触を避けるのは禁水性物品、衝撃や摩擦を避けるのは第1類や第5類の基準です。

貯蔵の基準で、数字が出てくるのはどこ?

屋内貯蔵所では、危険物は容器に入れて貯蔵し、容器の温度が55℃を超えないようにします(政令第26条)。容器を積み重ねる高さは3m以下で、第3石油類・第4石油類・動植物油類の容器だけなら4m以下、機械で荷役する容器だけなら6m以下です(規則第40条の2)。

貯蔵所には原則として危険物以外の物品を置かず、類の違う危険物も同じ貯蔵所に置きません。どちらも省令で定める例外があります。

タンクの計量口は計量するとき以外、元弁や注入口の弁・ふたは出し入れのとき以外は閉めておきます。防油堤の水抜口も普段は閉じておき、中に油や水がたまったら遅滞なく出します。移動貯蔵タンクには類・品名・最大数量を表示し、底弁は使うとき以外は完全に閉めます。

移動タンク貯蔵所には、完成検査済証、定期点検の記録、譲渡・引渡しの届出書、品名・数量等の変更の届出書を備え付けます(政令第26条、規則第40条の2の3)。

詰替え・消費・廃棄と販売の取扱いは、どう決まっている?

危険物を容器に詰め替えるときは、防火上安全な場所で行います(政令第27条第3項)。吹付塗装は防火上有効な隔壁で区切った安全な場所で、焼入れは危険物が危険な温度にならないように行います。染色や洗浄では換気をよくし、廃液をみだりに放置しません。

廃棄で焼却するときは、安全な場所で、周りに危害を及ぼさない方法で行い、見張人をつけます。埋めるときは性質に応じた安全な場所を選びます。海中や水中に流したり投げ込んだりすることは、原則として禁止です(同条第5項)。

販売取扱所では、危険物を容器に入れたまま販売します。塗料類などを配合室で配合する場合を除き、店舗で配合や詰替えはしません。

給油取扱所と移動タンク貯蔵所では、何に気をつけて取り扱う?

給油取扱所では、固定給油設備で直接給油し、給油するときは自動車等のエンジンを止めさせます。車が給油空地からはみ出したまま給油せず、洗車に引火点のある液体の洗剤は使いません(政令第27条第6項第1号)。セルフ以外の給油取扱所では、顧客に自分で給油させません。

タンクローリーから地下の専用タンクに荷卸しするときは、ローリーを注入口の近くに停め、そのタンクにつながる固定給油設備の使用を原則として止めます。

移動タンク貯蔵所から他のタンクに注入するときは、注入ホースを注入口に緊結し、引火点40℃未満の危険物ならエンジンを止めます。ガソリンなど静電気の危険がある液体の出し入れでは接地をし、上から入れるときは注入管の先を底に着けます。

移動貯蔵タンクから容器への詰替えは原則禁止です。例外は、引火点40℃以上の第4類を省令で定める容器に詰め替える場合だけです。

運搬と移送は何が違い、運搬にはどんな基準がある?

運搬は、危険物を容器に入れてトラックなどで運ぶことです。移送は、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)で運ぶことで、法令上は別の基準があります(運搬は消防法第16条、移送は第16条の2)。

運搬の基準は、容器・積載方法・運搬方法の3つです。数量の条件がないので、指定数量未満でも適用されます。運搬する人に危険物取扱者の資格は求められていません。

液体は運搬容器の内容積の98%以下で、55℃でも漏れないだけの空間を残して収納します。固体は95%以下です(規則第43条の3)。容器の外側には品名、危険等級、化学名(第4類の水溶性のものは「水溶性」)、数量、注意事項を表示し、第4類の注意事項は「火気厳禁」です(規則第44条)。

容器は収納口を上に向けて積み、積み重ねは3m以下です。第4類のうち特殊引火物は、日光の直射を避けるため遮光性の被覆で覆います(規則第45条)。第4類は第1類・第6類と混載できず、第2類・第3類・第5類とは混載できます。指定数量の10分の1以下の危険物には、この混載の制限は適用されません(規則第46条、別表第四)。

指定数量以上を車両で運ぶときは、0.3m平方の黒地の板に黄色の反射塗料などで「危」と書いた標識を車両の前後に掲げ、その危険物に適した消火設備を積みます。休憩などで停めるときは安全な場所を選びます(政令第30条、規則第47条)。

第1類第2類第3類第4類第5類第6類第1類第2類第3類第4類第5類第6類第4類混載できる混載できない同じ類第4類は第2類・第3類・第5類と混載でき、第1類・第6類とは混載できない指定数量の10分の1以下の危険物には、この混載の制限を適用しない
運搬で積み合わせてよい類の組合せ。表は行と列で対称になる
第4類と混載できる第2類、第3類、第5類
第4類と混載できない第1類、第6類
混載の制限が適用されない指定数量の10分の1以下の危険物

移送では、誰が乗って何を守る?

移送には、その危険物を取り扱える危険物取扱者が乗車し、免状を携帯します(消防法第16条の2)。ガソリンや灯油なら、丙種の人でも乗車できます。消防吏員や警察官は、火災防止のため特に必要なとき、走行中の移動タンク貯蔵所を停めて免状の提示を求めることができます(第16条の5)。

移送を始める前に、底弁などの弁、マンホール、注入口のふた、消火器などを点検します。休憩や故障で停めるときは安全な場所を選び、大量に漏れるおそれがあれば応急措置をとって消防機関などに通報します(政令第30条の2)。

長時間の移送では運転要員を2人以上にします。長時間とは、1人の連続運転時間が4時間を超えるか、1日の運転時間が9時間を超える移送です(規則第47条の2)。連続運転時間は、おおむね10分以上で合計30分以上の中断をせずに運転した時間で数えます。動植物油類のほか、第2類、第3類のカルシウム又はアルミニウムの炭化物、第4類のうち第1石油類・第2石油類(原油分留品、酢酸エステル、ぎ酸エステル、メチルエチルケトンに限る)、アルコール類、第3石油類、第4石油類は、この規定の対象外です(政令第30条の2第2号ただし書、規則第47条の2第2項)。特殊引火物は対象外に入りません。

アルキルアルミニウム等を移送するときは、経路などを書いた書面を関係消防機関に送り、その写しを携帯します。

運搬(容器に入れて運ぶ)移送(タンクローリーで運ぶ)容器に入れて、トラックなどで運ぶ移動タンク貯蔵所(タンクローリー)で運ぶ危険物取扱者の同乗は不要危険物取扱者が乗車し、免状を携帯指定数量以上なら「危」標識(0.3m平方)と消火設備を積む「危」標識は0.3m平方以上0.4m平方以下指定数量未満でも運搬の基準が適用される移送前に底弁・マンホール・注入口のふた・消火器などを点検収納率は液体98%以下、固体95%以下連続運転4時間超 又は 1日9時間超で運転要員2人以上(対象外の危険物あり)容器の積み重ねは3m以下
運搬は容器で運ぶこと、移送はタンクローリーで運ぶこと。資格者の同乗と標識の大きさが違う

職場ではどう使う?

タンクローリーの乗務員は、出発前に底弁やマンホール、消火器を点検し、乗車中は免状を身につけています。スタンドでの荷卸しでは、接地をとり、つながる計量機を止めてからホースをつなぎます。

工場の資材担当が、塗料缶を積んだ小型トラックで別の事業所へ運ぶ場面も運搬に当たります。量が指定数量未満でも、容器の表示、収納口を上にした積み方、3m以下の積み重ねは守ります。倍数1以上になる日は、車両の前後に「危」の標識を掲げ、消火器を積みます。

試験ではどう問われる?

共通基準では、くず・かすの廃棄を「1週間に1回」にする、油分離装置のくみ上げを定期にする、修理を危険物が残ったまま行えるとする型があります。

運搬では、指定数量未満には基準が適用されないとする型、危険物取扱者の同乗を必要とする型、収納率の98%と95%の入れ替え、第4類と混載できる類の入れ替えがよく作られます。

移送では、免状の携帯を不要とする型、写しでよいとする型、運転要員2人の条件を「連続2時間」などに変える型が中心です。運搬の標識(0.3m平方)と移動タンクの標識(0.3m平方以上0.4m平方以下)の混同にも注意します。

よくある質問

灯油をポリタンクで車に積んで運ぶときにも決まりはある?

あります。運搬の基準は数量にかかわらず適用されるので、基準に合った容器を使い、表示をして、収納口を上に向けて積みます。指定数量以上になれば、「危」の標識と消火設備も必要です。

運搬と移送は何が違う?

運搬は容器に入れて車両などで運ぶこと、移送は移動タンク貯蔵所(タンクローリー)で運ぶことです。移送には危険物取扱者の乗車と免状の携帯が必要ですが、運搬には資格者の同乗は求められていません。

タンクローリーで運転手を2人にしないといけないのはどんなとき?

1人の連続運転時間が4時間を超えるか、1日の運転時間が9時間を超えるおそれがある移送です。ただし、動植物油類など、この規定が適用されない危険物もあります。

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