危険物取扱者 乙種第4類/危険物に関する法令
危険物取扱者・免状・保安講習と、保安監督者などの保安体制
甲種・乙種・丙種で扱える危険物と立会いの範囲、免状の交付・書換え・再交付、保安講習の期限の数え方、危険物保安監督者・統括管理者・施設保安員・予防規程の決まりをまとめます。
甲種・乙種・丙種で、扱える危険物と立会いはどう違う?
甲種はすべての類の危険物を取り扱え、その取扱作業に立ち会えます。乙種は免状に書かれた類だけを取り扱い、その類について立ち会えます(規則第49条)。乙4なら第4類のすべてが範囲です。
丙種が扱えるのは、ガソリン、灯油、軽油、第3石油類のうち重油・潤滑油・引火点130℃以上のもの、第4石油類、動植物油類です。特殊引火物やアルコール類は含まれず、立会いはできません。
製造所等では、危険物取扱者以外の人は、甲種又は乙種の立会いがなければ危険物を扱えません(消防法第13条第3項)。立ち会う人は、作業者が基準を守るよう監督し、必要に応じて指示します(政令第31条第3項)。
| 甲種 | 全類の取扱い・立会いができる。実務6か月以上で保安監督者になれる |
|---|---|
| 乙種 | 免状に指定された類の取扱い・立会いができる。実務6か月以上でその類の保安監督者になれる |
| 丙種 | ガソリン・灯油・軽油・一部の第3石油類・第4石油類・動植物油類の取扱いだけ。立会いも保安監督者もできない |
免状の交付・書換え・再交付は、どこに申請する?
免状は、試験に合格した人に都道府県知事が交付します。申請先は、試験を行った都道府県知事です(消防法第13条の2第3項、政令第32条)。交付された免状は全国で通用します。
記載事項が変わったら、遅滞なく書換えを申請します。申請先は、免状を交付した知事、又は居住地か勤務地の知事です(政令第34条)。免状には過去10年以内に撮影した写真を載せる決まりなので(規則第51条)、写真が10年を超えたら書換えが必要です。
免状を亡失・滅失・汚損・破損したときは、交付か書換えをした知事に再交付を申請できます(政令第35条)。再交付の後に元の免状が見つかったら、10日以内に再交付を受けた知事へ提出します。
住所は免状の記載事項ではないので、引っ越しだけなら書換えは要りません。記載事項は、交付年月日と交付番号、氏名、生年月日、本籍地の属する都道府県、免状の種類、写真などです(政令第33条)。
| 交付 | 試験を行った都道府県知事 |
|---|---|
| 書換え | 交付した知事、又は居住地・勤務地の知事。記載事項が変わったら遅滞なく |
| 再交付 | 交付又は書換えをした知事 |
| 亡失した免状を発見 | 10日以内に、再交付を受けた知事へ提出 |
| 返納命令 | 交付した知事が命じる(消防法令に違反したとき) |
免状が交付されない、返納を命じられるのはどんなとき?
危険物取扱者が消防法令に違反しているとき、免状を交付した知事は返納を命じることができます(消防法第13条の2第5項)。命じるのは知事で、市町村長等ではありません。
知事は、返納を命じられて1年を経過しない人と、消防法令違反で罰金以上の刑に処せられ、執行を終えるなどしてから2年を経過しない人には、免状を交付しないことができます(同条第4項)。
保安講習はいつまでに受ける?
製造所等で危険物の取扱作業に従事している危険物取扱者には、保安講習を受ける義務があります(消防法第13条の23)。免状を持っていても取扱作業に従事していない人や、免状を持たない作業者には受講義務がありません。
最初の期限は、従事することになった日から1年以内です。ただし、従事する日の前2年以内に免状の交付か講習の受講があれば、その日以後の最初の4月1日から3年以内で足ります(規則第58条の14第1項)。
2回目以降は、講習を受けた日以後の最初の4月1日から3年以内ごとに受けます(同条第2項)。受講を怠れば消防法令違反になり、免状の返納命令の対象になり得ます。
講習は都道府県知事と、総務大臣が指定する機関が行います(消防法第13条の23)。2024年の規則改正で指定講習機関の指定の基準(オンライン講習ができる体制など)が定められ、修了は免状への記載か修了証の発行で証明されることになりました。
例題:保安講習の最初の受講期限を数える
2024年11月20日に免状の交付を受けたAさんが、2026年5月7日から給油取扱所で給油作業に従事することになった。最初の保安講習はいつまでに受ければよいか。
- ① 従事日の前2年以内に交付や受講があるか 2024年5月7日〜2026年5月6日の間に、2024年11月20日の交付がある 前2年以内に当たるので、ただし書の数え方を使う
- ② 交付日以後の最初の4月1日 2025年4月1日
- ③ そこから3年以内 2025年4月1日+3年 → 2028年3月31日まで
答え:2028年3月31日まで
よくある間違い:従事日から1年以内(2027年5月6日まで)と数えるのは、従事前2年以内に免状の交付も講習の受講もない人の場合です。
危険物保安監督者は、誰がどの施設で選ぶ?
危険物保安監督者は、甲種又は乙種で、製造所等での実務経験が6か月以上ある人から、所有者等が選びます(消防法第13条第1項、規則第48条の2)。丙種は選べません。選任・解任したら、遅滞なく市町村長等に届け出ます。
選任が必要な施設は、除外される施設以外のすべてです(政令第31条の2)。移動タンク貯蔵所は常に不要で、給油取扱所は規模にかかわらず必要です。引火点40℃以上の第4類だけを扱う屋内タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・販売取扱所なども除外されます。
業務は、作業者への指示、災害時の応急措置と消防機関への連絡、危険物施設保安員への指示、隣の施設の関係者との連絡などです(規則第48条)。変更の許可申請や届出は所有者等の義務で、保安監督者の業務ではありません。
統括管理者・施設保安員・予防規程が必要なのは、どんな施設?
危険物保安統括管理者は、第4類を扱う製造所・移送取扱所・一般取扱所を持つ事業所で、その取扱量が指定数量の3,000倍以上(移送取扱所は指定数量以上)のときに定めます(政令第30条の3)。事業の実施を統括管理する人を充て、免状は求められていません。
危険物施設保安員は、原則として指定数量の倍数100以上の製造所・一般取扱所と、移送取扱所で定めます(政令第36条)。施設の構造・設備に関する保安業務を担当し、こちらも免状は求められていません。
予防規程は、火災予防のために施設ごとに定める規則です。倍数10以上の製造所・一般取扱所、150以上の屋内貯蔵所、200以上の屋外タンク貯蔵所、100以上の屋外貯蔵所、移送取扱所、給油取扱所が対象です(政令第37条、第7条の3)。自家用の屋外の給油取扱所などは除かれます(規則第61条)。
予防規程は、作成も変更も市町村長等の認可が必要です(消防法第14条の2)。所有者等と従業者は、これを守らなければなりません。
| 危険物保安監督者 | 甲・乙で実務6か月以上。選任・解任は遅滞なく市町村長等へ届出 |
|---|---|
| 危険物保安統括管理者 | 第4類の製造所・移送取扱所・一般取扱所で3,000倍以上の事業所。選任・解任は遅滞なく届出 |
| 危険物施設保安員 | 倍数100以上の製造所・一般取扱所、移送取扱所。構造・設備の保安業務 |
| 予防規程 | 作成・変更とも市町村長等の認可 |
職場ではどう使う?
ガソリンスタンドでは、免状を持たないアルバイトの給油作業は、乙4などを持つ人の立会いのもとで行います。セルフスタンドで顧客の給油を監視するのも、消防庁の通知で立会いと位置づけられているので、監視する人は甲種か乙種です。2026年2月の規則改正では、使用条件を満たす場合に係員の監視・制御を装置が自動で代わる「条件付自動制御装置」の規定が加わりました。
丙種だけを持つ人は、灯油の詰替えを自分で行えますが、無資格のアルバイトの作業には立ち会えません。そのため、甲種・乙種の人がいる時間帯に合わせて勤務表を組むことになります。
免状を持つ人が異動で工場の危険物倉庫の取扱作業に就いたときは、配属日から1年以内に保安講習を受けます。前2年以内に免状の交付か受講があれば、4月1日起算の3年以内です。
試験ではどう問われる?
丙種に立会いをさせる、丙種を保安監督者にする、乙種に他の類の立会いをさせる、といった権限の入れ替えがよく作られます。保安監督者の実務経験を1年や3年に変える型もあります。
免状では、書換えと再交付の申請先の入れ替え、亡失免状を見つけたときの10日を別の日数にする型、返納を命じる者を市町村長等にする型があります。
保安講習は、受講義務を「すべての危険物取扱者」や「保安監督者だけ」に広げたり狭めたりする型と、期限を「5年」や「受講日から3年」にする型が中心です。予防規程では、認可を届出や承認に替える型があります。
よくある質問
引っ越したら免状の書換えは必要?
必要ありません。住所は免状の記載事項ではないからです。氏名や本籍地の属する都道府県など、記載事項が変わったときは遅滞なく書換えを申請します。
保安講習を受けないとどうなる?
製造所等で取扱作業に従事している危険物取扱者にとって、受講は法令上の義務です。怠れば消防法令違反となり、免状を交付した知事から返納を命じられることがあります。
丙種でもガソリンスタンドで働ける?
働けます。丙種はガソリン・灯油・軽油を自分で取り扱えます。ただし、無資格者の作業に立ち会うことはできず、危険物保安監督者にもなれません。
読んだあとにやること
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