危険物取扱者 乙種第4類/危険物に関する法令
危険物の定義・品名・指定数量と倍数計算
消防法でいう危険物の範囲、第4類の7つの品名を分ける引火点の境界、指定数量と倍数の計算、指定数量未満と仮貯蔵の扱いまでを、条文の数字で整理します。
消防法でいう「危険物」とは何か?
危険物は、消防法別表第一の品名欄に並ぶ物品のうち、類ごとに決められた性質を持つものです(消防法第2条第7項)。燃えやすい物がすべて危険物になるわけではなく、表に載っていて、政令で決めた試験で所定の性状を示したものだけが該当します。
類は第1類から第6類までの6つです。第4類(引火性液体)と第6類(酸化性液体)は液体だけ、第1類と第2類は固体だけの類で、第3類と第5類は固体と液体の両方を含みます。
1気圧・20℃で気体のものは、どの類にも入りません。プロパンなどの液化石油ガスは、300kg以上を貯蔵・取り扱うときに、あらかじめ所轄消防長又は消防署長に届け出る物質として別に扱われています(消防法第9条の3、政令第1条の10)。
| 第1類 | 酸化性固体(塩素酸塩類、硝酸塩類など) |
|---|---|
| 第2類 | 可燃性固体(硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉など) |
| 第3類 | 自然発火性物質及び禁水性物質(カリウム、ナトリウム、黄りんなど) |
| 第4類 | 引火性液体(特殊引火物、第1〜第4石油類、アルコール類、動植物油類) |
| 第5類 | 自己反応性物質(有機過酸化物、硝酸エステル類など) |
| 第6類 | 酸化性液体(過塩素酸、過酸化水素、硝酸) |
第4類の7つの品名は、何を基準に分かれる?
第4類は、主に1気圧での引火点で7つの品名に分かれます。境目の数字は21℃、70℃、200℃、250℃の4つで、低い側から第1石油類、第2石油類、第3石油類、第4石油類、動植物油類と並びます。
特殊引火物だけは定義の形が違います。発火点が100℃以下のもの、又は引火点が−20℃以下で、かつ沸点が40℃以下のものです。前半は発火点だけで決まり、後半は引火点と沸点の両方を満たす必要があります。
アルコール類も引火点では決まりません。炭素数1〜3の飽和一価アルコールで、変性アルコールを含みます。含有量が60%未満の水溶液は、規則第1条の3でアルコール類から除かれます。
第3石油類・第4石油類・動植物油類は、1気圧・20℃で液状のものに限られます。引火点250℃以上の液体は危険物ではなく、指定可燃物の「可燃性液体類」として扱われ、その基準は市町村条例で定められます。
| 特殊引火物 | 発火点100℃以下、又は引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下(例:ジエチルエーテル、二硫化炭素) |
|---|---|
| 第1石油類 | 引火点21℃未満(例:アセトン、ガソリン) |
| アルコール類 | 炭素数1〜3の飽和一価アルコール(例:メタノール、エタノール) |
| 第2石油類 | 引火点21℃以上70℃未満(例:灯油、軽油) |
| 第3石油類 | 引火点70℃以上200℃未満(例:重油、クレオソート油) |
| 第4石油類 | 引火点200℃以上250℃未満(例:ギヤー油、シリンダー油) |
| 動植物油類 | 動物の脂肉等や植物の種子・果肉から抽出した油で、引火点250℃未満のもの |
指定数量はいくつで、何の境目になる?
指定数量は、危険物の危険性を考えて政令で決めた数量です(消防法第9条の4、政令別表第三)。指定数量以上の危険物は、許可を受けた製造所・貯蔵所・取扱所でなければ貯蔵も取扱いもできません(消防法第10条第1項)。
第4類の指定数量は、危険性が高い品名ほど小さくなっています。特殊引火物50L、第1石油類200L、アルコール類400L、第2石油類1,000L、第3石油類2,000L、第4石油類6,000L、動植物油類10,000Lです。
第1〜第3石油類の水溶性液体は、非水溶性液体のちょうど2倍です(400L・2,000L・4,000L)。アルコール類、第4石油類、動植物油類には水溶性による区別がありません。
水溶性液体とは、1気圧・20℃で同じ量の純水とゆるやかに混ぜ、流れが落ち着いた後も均一な外観を保つものをいいます(政令別表第三備考)。
| 特殊引火物 | 50L |
|---|---|
| 第1石油類 | 非水溶性200L/水溶性400L |
| アルコール類 | 400L |
| 第2石油類 | 非水溶性1,000L/水溶性2,000L |
| 第3石油類 | 非水溶性2,000L/水溶性4,000L |
| 第4石油類 | 6,000L |
| 動植物油類 | 10,000L |
指定数量の倍数はどう計算する?
品名ごとに「貯蔵量÷指定数量」を出し、その商を全部足します。合計が1以上なら、その場所は指定数量以上の危険物を貯蔵しているとみなされます(消防法第10条第2項)。
1つ1つが指定数量未満でも、足して1以上になれば規制の対象です。ガソリン100L(0.5)と灯油500L(0.5)を同じ場所に置けば、合計1.0で指定数量以上になります。
計算で間違えやすいのは、品名の取り違えと、水溶性・非水溶性の取り違えの2つです。先に品名と水溶性を書き出してから割り算をすると、取り違えが減ります。
例題:4種類を同じ倉庫に置いたときの倍数を求める
同じ屋内貯蔵所に、ガソリン300L、エタノール600L、軽油1,800L、シリンダー油3,000Lを貯蔵する。指定数量の倍数はいくつか。
- ① 品名と指定数量を決める ガソリン=第1石油類(非水溶性)200L、エタノール=アルコール類400L、軽油=第2石油類(非水溶性)1,000L、シリンダー油=第4石油類6,000L
- ② 品名ごとに割る 300÷200=1.5、600÷400=1.5、1,800÷1,000=1.8、3,000÷6,000=0.5
- ③ 足す 1.5+1.5+1.8+0.5=5.3 1以上なので指定数量以上の貯蔵になる
答え:指定数量の倍数は5.3
よくある間違い:エタノールを第1石油類の200Lで割ると3.0になり、合計が6.8にずれます。アルコール類は400Lです。
指定数量未満や、一時的に置くだけならどうなる?
指定数量未満の危険物にも基準があります。貯蔵・取扱いの基準と、置き場所の位置・構造・設備の基準は、市町村条例で定めます(消防法第9条の4)。
指定数量以上を製造所等以外の場所に置けるのは、所轄消防長又は消防署長の承認を受け、10日以内の期間に限って仮に貯蔵・取り扱う場合だけです(消防法第10条第1項ただし書)。工事の間だけ燃料を置くような場面がこれに当たります。
承認の相手は消防長又は消防署長で、市町村長等ではありません。設置許可や完成検査の相手である市町村長等と取り違えさせる選択肢が作られやすいので、相手と日数を組にして覚えます。完成検査前に使う「仮使用」との違いは仮使用と仮貯蔵はどう違う?で整理しています。
職場ではどう使う?
塗装工場の塗料倉庫を例にします。引火点が21℃未満で第1石油類(非水溶性)に当たるシンナーを120L(0.6)置いている部屋に、洗浄用の灯油を400L(0.4)追加すると、合計1.0で指定数量以上になります。その部屋は、許可を受けた屋内貯蔵所でなければならなくなります。シンナーは製品によって成分と引火点が違うので、品名はSDSの消防法の欄で確かめます。
ガソリンスタンドでは、地下タンクに入れる品名ごとの最大数量から倍数を出し、許可の申請書に書きます(政令第6条)。製造所等の掲示板にも指定数量の倍数を表示するので(規則第18条)、倍数は現場で毎日目にする数字です。
試験ではどう問われる?
引火点の境界値を1つずらした誤りの選択肢がよく作られます。21℃と70℃、200℃と250℃の入れ替えや、「未満」と「以上」の入れ替えです。特殊引火物では「かつ」を「又は」に替える型があります。
指定数量は、水溶性と非水溶性の値の入れ替え、アルコール類を2倍の800Lにする、第4石油類と動植物油類の値を入れ替える、といった型が中心です。倍数計算では、水溶性の物品を非水溶性の値で割った答えが選択肢に並びます。
仮貯蔵では、承認を「許可」や「届出」に、10日を別の日数に、相手を「市町村長等」に替える型があります。指定数量未満を「規制なし」とする記述も、誤りの選択肢として作られやすい形です。
よくある質問
灯油は何リットルから危険物の許可が必要?
灯油は第2石油類の非水溶性液体で、指定数量は1,000Lです。同じ場所に1,000L以上(ほかの危険物と合わせて倍数1以上)を置くなら、許可を受けた製造所等が必要です。1,000L未満の扱いは市町村条例で決まるので、所轄の消防署で確かめます。
指定数量の倍数がちょうど1のときは、指定数量以上になる?
なります。消防法第10条第2項は、商の和が「1以上」のとき指定数量以上とみなすと定めているので、1ちょうども含みます。
アルコール類に水溶性・非水溶性の区別はある?
指定数量の区別はありません。アルコール類は一律400Lで、第1石油類の水溶性液体と同じ値です。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
関連する解説
解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は一般財団法人 消防試験研究センターの公式情報で確認してください。