危険物取扱者 乙種第4類/危険物に関する法令
製造所等の位置・構造・設備の基準と定期点検
保安距離と保有空地の数字、屋内貯蔵所・タンク類・給油取扱所の主な構造基準、標識と掲示板、消火設備の区分と所要単位、定期点検の対象と記録の保存期間を整理します。
保安距離はどの施設に必要で、何mか?
保安距離は、火災や爆発が起きたときに周りの建物を守るため、施設の外壁から保つ距離です。必要なのは製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋外貯蔵所、一般取扱所の5つです(政令第9条・第10条・第11条・第16条・第19条)。
距離は、住居10m以上、学校・病院・劇場など30m以上、重要文化財等50m以上、高圧ガス施設等20m以上です。特別高圧架空電線は、7,000V超35,000V以下なら水平距離3m以上、35,000V超なら5m以上です。
学校に当たるのは幼稚園から高等学校、特別支援学校、高等専門学校までで、大学は含まれません(規則第11条)。劇場や映画館は300人以上、児童福祉施設や老人福祉施設などは20人以上を収容できるものが対象です。住居は、施設と同じ敷地内にあるものを除きます。
不燃材料の防火塀を設けるなどして市町村長等が安全と認めれば、住居・学校等・文化財との距離は市町村長等が定めた距離にできます。2026年の改正で高圧ガス施設等との距離にも特例が加わりましたが、基準の数字は変わっていません。
| 住居(同一敷地外) | 10m以上 |
|---|---|
| 学校・病院・劇場等 | 30m以上 |
| 重要文化財等の建造物 | 50m以上 |
| 高圧ガス施設等 | 20m以上 |
| 特別高圧架空電線(7,000V超35,000V以下) | 水平距離3m以上 |
| 特別高圧架空電線(35,000V超) | 水平距離5m以上 |
保有空地の幅は、どう決まる?
保有空地は、消火活動と延焼防止のために施設の周りに確保する、物を置かない空地です。幅は施設の種類と指定数量の倍数で決まります。
製造所と一般取扱所は、倍数10以下なら3m以上、10を超えれば5m以上です(政令第9条第1項第2号)。屋外貯蔵所は、倍数10以下3m、20以下6m、50以下10m、200以下20m、200超30mと5段階です(政令第16条)。
屋内貯蔵所は、壁・柱・床が耐火構造かどうかでも幅が変わり、倍数5以下で耐火構造なら空地は要りません。屋外タンク貯蔵所は倍数500以下の3m以上から始まり、4,000を超えるとタンクの直径か高さの大きい方(15m以上)になります。
2026年の改正で、防火塀や散水設備を設けた場合に空地を減らしたり、設けなかったりできる特例が広がりました。表の基準値そのものは変わっていません。
| 製造所・一般取扱所 | 倍数10以下3m以上、10超5m以上 |
|---|---|
| 屋外貯蔵所 | 10以下3m、20以下6m、50以下10m、200以下20m、200超30m(いずれも以上) |
| 屋内貯蔵所(壁・柱・床が耐火構造) | 5以下は不要、10以下1m、20以下2m、50以下3m、200以下5m、200超10m |
| 屋外タンク貯蔵所 | 500以下3m、1,000以下5m、2,000以下9m、3,000以下12m、4,000以下15m、4,000超は直径か高さの大きい方(15m以上) |
| 簡易タンク貯蔵所(屋外) | タンクの周囲に1m以上 |
貯蔵所や給油取扱所の構造基準で、よく出る数字は?
屋内貯蔵所の貯蔵倉庫は、原則として軒高6m未満の平家建てで、床面積は1,000㎡以下です(政令第10条)。引火点70℃未満の危険物を置く倉庫には、たまった蒸気を屋根上に出す設備が要り、倍数10以上なら避雷設備も設けます。
液体の危険物(二硫化炭素を除く)の屋外タンクの周りには防油堤を設けます。引火点のある液体なら、容量はタンク1基でそのタンク容量の110%以上、2基以上を囲むときは最大のタンクの容量の110%以上で、高さは0.5m以上です(規則第22条)。
地下貯蔵タンクは、頂部を地盤面から0.6m以上下にし、タンク室の内側と0.1m以上離して周りに乾燥砂を詰めます。屋内貯蔵タンクは専用室の壁やほかのタンクと0.5m以上離し、容量は指定数量の40倍以下(第4石油類・動植物油類以外の第4類は20,000L以下)です。
簡易貯蔵タンクは容量600L以下で、1つの簡易タンク貯蔵所に3基まで、同じ品質の危険物のタンクは2基以上置けません。移動貯蔵タンクは容量30,000L以下で、4,000L以下ごとに厚さ3.2mm以上の鋼板などで間仕切をします。常置場所は、屋外の防火上安全な場所か、耐火構造又は不燃材料で造った建築物の1階です。
給油取扱所には、ホース機器の周りに間口10m以上・奥行6m以上の給油空地を確保し、漏れた危険物がしみ込まない舗装にします(政令第17条)。固定給油設備は道路境界線から4m以上(ホースが長い型は5m・6m以上)、敷地境界線から2m以上離し、給油ホースは先端に弁の付いた全長5m以下(懸垂式を除く)です。地下の廃油タンクは10,000L以下です。
第一種販売取扱所は建築物の1階に設け、危険物を配合する室は床面積6㎡以上10㎡以下です(政令第18条)。
標識と掲示板は、何色で何を書く?
製造所等には、製造所等であることを示す標識と、防火に必要な事項を書いた掲示板を設けます。どちらも幅0.3m以上・長さ0.6m以上の板で、白地に黒文字です(規則第17条・第18条)。
掲示板には、危険物の類、品名、貯蔵最大数量又は取扱最大数量、指定数量の倍数を書きます。保安監督者が必要な施設では、その氏名か職名も書きます。
注意事項の掲示板は色で区別します。第4類は「火気厳禁」で赤地に白文字です。「火気注意」も赤地に白文字で、「禁水」は青地に白文字です。給油取扱所には、黄赤地に黒文字の「給油中エンジン停止」も掲げます。
移動タンク貯蔵所の標識は、0.3m平方以上0.4m平方以下の黒地の板に、黄色の反射塗料などで「危」と書き、車両の前後に掲げます(規則第17条第2項)。
| 標識・掲示板 | 幅0.3m以上×長さ0.6m以上、白地に黒文字 |
|---|---|
| 火気厳禁 | 赤地に白文字(第4類、第2類の引火性固体、自然発火性物品、第5類) |
| 火気注意 | 赤地に白文字(第2類。引火性固体を除く) |
| 禁水 | 青地に白文字(第1類のアルカリ金属の過酸化物等、禁水性物品) |
| 給油中エンジン停止 | 黄赤地に黒文字(給油取扱所) |
| 移動タンク貯蔵所の「危」 | 0.3m平方以上0.4m平方以下、黒地に黄色の反射塗料等。車両の前後 |
消火設備の第1種〜第5種は、どう分かれる?
消火設備は第1種から第5種に分かれます(政令第20条、別表第五)。第1種は屋内・屋外消火栓設備、第2種はスプリンクラー設備、第3種は水蒸気・水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の消火設備です。
消火器は大きさで分かれ、大型が第4種、小型が第5種です。第5種には、水バケツ・水槽、乾燥砂、膨張ひる石・膨張真珠岩も含まれます。第4種は防護対象物の各部分から歩行距離30m以下、第5種は20m以下に置きます(規則第32条の10・第32条の11)。
必要な消火設備の量は所要単位で数えます。危険物は指定数量の10倍で1所要単位です。建築物は、製造所・取扱所なら外壁が耐火構造で延べ面積100㎡、そうでなければ50㎡ごとに1単位、貯蔵所なら150㎡と75㎡ごとに1単位です(規則第30条)。
指定数量の倍数が10以上の製造所等のうち省令で定めるものには、自動火災報知設備などの警報設備も必要です(政令第21条)。
例題:建築物と危険物の所要単位を求める
外壁が耐火構造で延べ面積450㎡の屋内貯蔵所に、灯油20,000Lを貯蔵する。建築物と危険物の所要単位をそれぞれ求めよ。
- ① 建築物 貯蔵所で外壁が耐火構造 → 150㎡で1単位。450÷150=3
- ② 危険物の倍数 灯油の指定数量は1,000L。20,000÷1,000=20
- ③ 危険物の所要単位 指定数量の10倍で1単位。20÷10=2
答え:建築物は3所要単位、危険物は2所要単位
よくある間違い:製造所・取扱所の値(100㎡)を使うと建築物が4.5単位になります。貯蔵所は150㎡です。
定期点検はどの施設で、いつ、誰がする?
定期点検は、施設の位置・構造・設備が技術上の基準に合っているかを、所有者等が自ら確かめる制度です(消防法第14条の3の2)。点検の記録を作り、保存します。
対象は、倍数10以上の製造所と一般取扱所、150以上の屋内貯蔵所、200以上の屋外タンク貯蔵所、100以上の屋外貯蔵所、一部の移送取扱所です。地下タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、地下タンクを持つ製造所・給油取扱所・一般取扱所は、規模にかかわらず対象です(政令第8条の5)。屋内タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、販売取扱所は対象外です。
頻度は1年に1回以上です(規則第62条の4)。点検できるのは危険物取扱者(丙種を含む)と危険物施設保安員で、危険物取扱者が立ち会えばそれ以外の人も行えます(規則第62条の6)。ただし、地下貯蔵タンク・地下埋設配管・移動貯蔵タンクの漏れの点検は、告示で定める点検方法の知識と技能を持つ人に限られます。
記録には、施設の名称、点検の方法と結果、点検年月日、点検した人又は立ち会った危険物取扱者の氏名を書きます。保存期間は原則3年で、移動貯蔵タンクの漏れの点検は10年、屋外貯蔵タンクの内部点検は26年(条件により30年)です(規則第62条の8)。
職場ではどう使う?
ガソリンスタンドの日常では、給油空地から車をはみ出させない誘導や、掲示板の色あせの確認が基準に直結します。年1回の定期点検では、地下タンクや配管、消火器の配置などを点検表に沿って確かめ、記録を3年残します。
倉庫を新しく建てる計画では、敷地から隣の住宅まで10mあるか、近くに小学校や病院がないかを最初に確かめます。保安距離や保有空地が足りないと、防火塀などの特例を使わない限り許可は受けられません。
試験ではどう問われる?
保安距離では、学校等30mと文化財50mの入れ替え、特別高圧架空電線の3mと5mの入れ替え、大学を学校に含める型があります。給油取扱所など保安距離の要らない施設を「必要」とする記述も作られます。
構造では、防油堤の110%を100%にする、高さ0.5mを別の数字にする、屋内貯蔵所の軒高6mや床面積1,000㎡を変える型が中心です。標識では、移動タンクの「危」の色(黒地に黄色)を逆にする、火気厳禁を青地にする、といった色の入れ替えがあります。
定期点検では、記録の保存期間を1年や5年にする型、丙種は点検できないとする型、屋内タンク貯蔵所を対象に含める型が作られやすい形です。
よくある質問
ガソリンスタンドに保安距離はある?
給油取扱所には保安距離の規定はありません。代わりに、固定給油設備と道路境界線・敷地境界線・建築物の壁との間隔が決められています(政令第17条)。
定期点検の記録は何年保存する?
原則3年です。移動貯蔵タンクの漏れの点検は10年、屋外貯蔵タンクの内部点検は26年(条件により30年)です(規則第62条の8)。
タンクローリーの「危」マークの大きさは決まっている?
決まっています。0.3m平方以上0.4m平方以下の黒地の板に、黄色の反射塗料などで「危」と表示し、車両の前後に掲げます。容器で運搬する車両の標識は0.3m平方です。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
関連する解説
解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は一般財団法人 消防試験研究センターの公式情報で確認してください。