危険物取扱者 乙種第4類/危険物に関する法令
製造所等の区分と、許可・完成検査・届出・行政処分
製造所等12区分の見分け方と、設置・変更の許可から完成検査、仮使用、各種の届出、許可の取消しや使用停止命令までの手続を、誰に・いつまでにの形で整理します。
製造所等は全部でいくつに分かれる?
指定数量以上の危険物を扱う施設は、製造所、貯蔵所、取扱所の3つに分かれ、貯蔵所は7種類、取扱所は4種類に細分されます。合わせて12区分で、法令ではこれをまとめて「製造所等」と呼びます(政令第2条・第3条)。
製造所は危険物を作る施設です。貯蔵所はためておく施設で、タンクの置き場所(屋外・屋内・地下)、タンクの種類(簡易・移動)、タンクを使わない屋内・屋外の置き場で分かれます。
取扱所は、給油、販売、配管による移送、それ以外の取扱いの4つです。販売取扱所は、指定数量の倍数が15以下なら第一種、15を超え40以下なら第二種です。
| 製造所 | 危険物を製造する施設 |
|---|---|
| 屋内貯蔵所 | 屋内の場所で貯蔵(原則として容器に入れる) |
| 屋外タンク貯蔵所 | 屋外にあるタンクで貯蔵 |
| 屋内タンク貯蔵所 | 屋内にあるタンクで貯蔵 |
| 地下タンク貯蔵所 | 地盤面下に埋没したタンクで貯蔵 |
| 簡易タンク貯蔵所 | 簡易タンク(容量600L以下)で貯蔵 |
| 移動タンク貯蔵所 | 車両に固定されたタンクで貯蔵(タンクローリー) |
| 屋外貯蔵所 | 屋外の場所で貯蔵(置ける危険物に制限あり) |
| 給油取扱所 | 固定給油設備で自動車等に直接給油(ガソリンスタンド) |
| 販売取扱所 | 店舗で容器入りのまま販売。第一種は倍数15以下、第二種は15超40以下 |
| 移送取扱所 | 配管とポンプで危険物を移送(パイプライン) |
| 一般取扱所 | 上の3つ以外の取扱所(ボイラーでの消費、容器への詰替えなど) |
屋外貯蔵所や給油取扱所で扱えるものは、どう決まっている?
屋外貯蔵所に置けるのは、第2類の硫黄・硫黄のみを含むもの・引火点0℃以上の引火性固体と、第4類のうち引火点0℃以上の第1石油類、アルコール類、第2〜第4石油類、動植物油類だけです(政令第2条第7号)。
特殊引火物は1つも置けません。第1石油類は引火点0℃以上のものに限られるので、ガソリンのように引火点が0℃より低いものは屋外貯蔵所の対象外です。
給油取扱所でできる作業も、区分の定義に書かれています。固定給油設備による自動車等への直接給油のほか、ガソリンの容器への詰替えと、軽油の容量4,000L以下の車両のタンクへの注入です。固定注油設備を置けば、灯油・軽油を容器や4,000L以下のタンクへ入れられます(政令第3条第1号)。
設置や変更の許可は、誰から受ける?
製造所等を設置するとき、位置・構造・設備を変更するときは、市町村長等の許可が必要です(消防法第11条第1項)。市町村長等とは、区域と施設の種類で決まる許可権者をまとめた呼び名です。
消防本部と消防署を置く市町村の区域なら市町村長、置いていない市町村の区域なら都道府県知事です。移送取扱所は、1つの消防本部等所在市町村の区域だけにあれば市町村長、それ以外は都道府県知事で、2つ以上の都道府県にまたがると総務大臣になります。
許可を受けても、すぐには使えません。工事が終わったら市町村長等の完成検査を受け、技術上の基準に合っていると認められてから使い始めます(同条第5項)。合格すると完成検査済証が交付されます(政令第8条)。
完成検査前検査と仮使用は、どんなときに使う?
液体の危険物を入れるタンクを持つ製造所等は、タンクの工事の途中で完成検査前検査を受けます(消防法第11条の2、政令第8条の2)。水張検査・水圧検査のように、配管を付けた後では確かめにくい項目を先に見る検査です。
製造所と一般取扱所では、容量が指定数量以上のタンクがあるときだけ対象になります。容量1,000kL以上の屋外タンクでは、基礎・地盤についての検査も加わります。
仮使用は、変更工事のときだけ使える仕組みです。工事に関係しない部分の全部又は一部を、市町村長等の承認を受けて、完成検査の前から使います(消防法第11条第5項ただし書)。給油取扱所の一部を改装しながら営業を続ける場面が代表例です。
名前が似ている仮貯蔵・仮取扱いは、製造所等ではない場所に指定数量以上を10日以内置く制度で、承認するのは所轄消防長又は消防署長です。
| 仮使用 | 変更工事中、工事部分以外を完成検査前に使う。市町村長等の承認 |
|---|---|
| 仮貯蔵・仮取扱い | 製造所等以外で指定数量以上を10日以内。所轄消防長又は消防署長の承認 |
届出はどれが「10日前まで」で、どれが「遅滞なく」?
位置・構造・設備を変えずに、危険物の品名、数量、指定数量の倍数だけを変えるときは、変更しようとする日の10日前までに市町村長等に届け出ます(消防法第11条の4)。事前の届出はこれだけです。
ほかの届出は、事実が起きた後に遅滞なく出します。製造所等を譲り受けた人の地位承継(第11条第6項)、用途の廃止(第12条の6)、危険物保安統括管理者と危険物保安監督者の選任・解任(第12条の7、第13条)です。
位置・構造・設備を変えるなら、届出ではなく変更の許可が必要です。品名の変更に工事が伴う場合も、許可の手続になります。
| 設置、位置・構造・設備の変更 | 市町村長等の許可(事前) |
|---|---|
| 品名・数量・倍数の変更 | 変更の10日前までに市町村長等へ届出 |
| 譲渡・引渡し | 譲り受けた人が遅滞なく市町村長等へ届出 |
| 用途廃止 | 遅滞なく市町村長等へ届出 |
| 保安監督者・統括管理者の選任・解任 | 遅滞なく市町村長等へ届出 |
| 予防規程の作成・変更 | 市町村長等の認可 |
| 仮使用 | 市町村長等の承認 |
| 仮貯蔵・仮取扱い | 所轄消防長又は消防署長の承認 |
許可の取消しと使用停止命令は、何が違う?
市町村長等は、違反の中身に応じて処分を使い分けます。許可の取消し又は使用停止の対象になるのは、無許可の変更、完成検査前の使用、修理・改造・移転の命令への違反、保安検査の未受検、定期点検をしなかった場合です(消防法第12条の2第1項)。
使用停止だけが対象になるのは、貯蔵・取扱基準の遵守命令への違反、危険物保安統括管理者や危険物保安監督者を定めない・業務をさせない場合、これらの解任命令への違反です(同条第2項)。
このほか、基準に違反した貯蔵・取扱いには遵守命令(第11条の5)、設備が基準に合わないときは修理・改造・移転の命令(第12条第2項)、緊急時には使用の一時停止命令(第12条の3)が出せます。流出事故では、所有者等が直ちに応急の措置をとり、発見者は消防署などへ通報します(第16条の3)。
職場ではどう使う?
工場の屋内貯蔵所で、保管する塗料が第2石油類から第1石油類に替わる場面を考えます。建物や設備を変えないなら、変更しようとする日の10日前までに品名と倍数の変更を届け出ます。指定数量が小さくなるので、倍数が増える点も確かめます。
給油取扱所の改装では、工事区画を仕切り、仮使用の承認を受けて残りの給油設備で営業を続けることがあります。承認を受けずに使えば、許可の取消し又は使用停止の対象です(消防法第12条の2第1項第2号)。
施設を別の会社に譲るときは、譲り受けた会社が許可を受けた者の地位を引き継ぎ、遅滞なく届け出ます。許可を取り直す必要はありません。
試験ではどう問われる?
区分では、販売取扱所の倍数(15と40)の入れ替えと、屋外貯蔵所に置けない危険物(特殊引火物、引火点0℃未満の第1石油類)を置けるとする型があります。
手続では、許可・承認・認可・届出の入れ替えが中心です。品名の変更を「許可」にする、用途廃止を「10日前まで」にする、仮使用の承認者を消防長にする、といった形です。
行政処分では、保安監督者を定めない場合を「許可の取消し」の事由とする誤りが作られやすいです。取消しの対象か、使用停止だけの対象かを、第12条の2の第1項と第2項で分けて覚えます。
よくある質問
ガソリンスタンドは法令上どの区分に当たる?
給油取扱所です。固定給油設備で自動車等の燃料タンクに直接給油する取扱所で、ガソリンの容器への詰替えや、軽油の容量4,000L以下の車両のタンクへの注入もできます。
品名を変えるだけでも許可が必要?
位置・構造・設備を変えないなら許可は不要で、変更しようとする日の10日前までに市町村長等へ届け出ます。工事を伴う場合は変更の許可になります。
完成検査済証をなくしたらどうする?
交付した市町村長等に再交付を申請できます。再交付を受けた後に元の検査済証を見つけたら、10日以内に再交付をした市町村長等へ提出します(政令第8条)。
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